<PC-8801mkII FRの分解>
手元のPC-8801mkII FRは、真っ赤に塗装してしまうというかなりアレなことをしたので(笑)、その折に分解写真も撮っておきました。
分解手順
PC-8801mkII FRの分解は、そんなに難しくありません。部品数も少なく、上部カバーを取って電源と5インチフロッピーを外せば基板に到達出来ます。
が、一応、簡単に説明します。
- 上部カバーを外す
これは、PC-9800シリーズと一緒です。左右と後部のネジを取り、かぱりとカバーを外します。ただ、PC-9800シリーズと違って、左右と後部のネジは違うネジが使われているので、注意してください。
- 右ファン、スピーカー、バックパネルを外す
写真が、上部カバーを外した所です。下に見えているファンのネジを外し、反対側(写真で言うと上側)の方に同じように付いているネジ(ファンはありません)も外します。
ファンから伸びている電源ケーブルは、途中がひっかけ式のコネクタになっているので、簡単に外せます。
続いて、左下の方に見えているスピーカーも外します。
また、バックパネルも外しておきます。後ろのネジを全部取るだけですから、特に難しいことはありません。
- 5インチFDDを外す
右側のドライブは右側だけ、左側のドライブは左側だけがネジ止めされていますので、これを外します。
ネジを取ったら、そのまま前にまっすぐ引けば、スライドして来ます。金具が引っ掛かっていることがあるので、無理に強く引かないでください。
ちょっと引いたら、後ろに付いているの電源ケーブルと信号ケーブルを外して、5インチFDDを取り外します。
- 電源を外す
基板上に伸びているケーブルを、コネクタから外します。ツメを押せば取れるタイプの物ですから、簡単です。
電源には、'86 7 Rev.A SHINDENGEN ELECTRICの表示がありました。おそらく、新電元工業株式会社の物でしょう。
フロントパネルを外す
ここまで来て、初めてフロントパネルを外します。最初に外せそうな気がしますが、電源と5インチFDDを外さないと、フロントパネルは外せません。というのも、フロントパネルは、下部3ヶ所がケースの底の金属板にネジ止めされていて、このネジを外してやらなくてはいけないからです。
これを知らないで、引くと外せるんじゃないか、とぐいぐい引っ張ると、ネジ穴をわやにしてしまったりします。フロントカバーは、必ずここまで来てから外しましょう。なお、大きいドライバーだとマザーに当たってしまいますので、ここでは小さなドライバーが必要でした。
基板をケースの底から外す
まず、基板に直接ネジ止めされているネジを外します。が、これだけやっても取れません。
基板は、背面のプリンタコネクタ・RS-232Cポート・アナログRGB-OUT端子がネジ止めされているネジでも、同時に底に止められています。そこで、この各端子に付いているネジも外す必要があります。
こうして、ついに分解することが出来ました。
では、分解したブツを見て行ってみましょう。
CPUについて
PC-8801mkII FRのCPUは、NEC製のμPD780C-1です。が、基板をよく見ると、このチップは2つ載っています(写真参考)。
「? なんでデュアル?」
と思ったのですが、これはどうやら、N-basicモード用とN88-basicモード用みたいです。パターンを追ってみると、この2つのCPUの回路は全く分断されています。つまり、2つのパソコンが中に入っているみたいな感じですね。
そんなワケで、CPUは2つありますが、デュアルって訳ではありません。
音源について
機種紹介のページで述べたように、このPC-8801mkII FRには、当時最先端のFM音源が積まれています。FM3音、SSG3音というのは、当時大変豪華なものでした(モノラルですけどね)。
図のチップが、その音源チップ、YAMAHAのYM2203Cです。このYM2203は、1991年発売のPC-9801DAにも標準搭載されています。つまり、俗に言う「26音源」ことPC-9801-26Kがこのチップを積んでいるのです。
YM2203Cを初めて積んだパソコンが、このFRの親分機、PC-8801mkII SR。つまり、FRは2機目ということになります。当時はYM2203Cはアーケードゲームの基板なぞにも、よく使われていたようです。
電源について
標準搭載の電源から出ている電圧を測っておきました。一体この2001年現在にこんな情報が役に立つ人がいるのかは謎ですが、まぁヒマだったので(ぷ。
ファンには交流100Vが来てますので、加工するときは気を付けましょう。
- 写真左……5インチFDDへの電源
黄色:+12V 茶色:GND 赤:+5V
- 写真中央……基板への電源
茶色:GND 赤:+5V
- 写真右……ファンへの電源
AC100V
- 写真無いっすが、も一つ基板に伸びてる電源
茶色:GND ピンク:+8V 水色:-12V 黄色:+12V
また、拡張スロットの下にバッテリ用と思われる電池がありました。2.4V 30mAhとなっていました。
現存するPC-8801mkII FRの電池はまず間違いなくヘタっているでしょうから、変えておくと良いかもしれません。
基板裏側について
ピカピカしていて、綺麗でした(ぷ。
このマザーには手直しのジャンパなども一切這っておらず、非常に丁寧な作りのマザーでした。元々、NECの製品にはジャンパが這っている物は少ないですね。
もっとも、初期のA-Mateにはジャンパ這いのマザーがたくさんあったとも聞きますが。
VRAMについて
こんな感じで、VRAMはメモリチップが6つ載っています。HITACHI製の物で、
JAPAN 8608 HM48416AP-15 A0015NNって表記がありました。
最初の「8608」は、おそらく1986年8月製ってコトでしょう。あとの記号はメンドいから調べてません(ぉ。ヒマなときにデータシート漁っておきます。
FD周りについて
FDDのコネクタを刺すトコロは、なんと日本語で「ドライブ1」「ドライブ2」とシルク印刷されていました。うーん、日本語でマザーに印刷している基板って、初めて見ました。
FDは、2Dドライブですね。TEAC製の物が使われていました。
拡張スロットについて
このPC-8801mkII FRは、仕様上は拡張スロットは1つですが、実際に開けてみるとこのように受け口自体は2つあります(写真は既に1枚ボードが刺してある状態です)。んが、受け口のスロットの色が違います(標準のは黒、隠しは青)。
筐体に穴を開けて、ここにボードを刺せば、拡張スロットを2つに出来るのでしょうか。残念ながら試そうにも、PC-8801用の拡張ボード自体が手元にないので、検証は不可能です。
PC-9800シリーズのCバスと同じような仕組みなら、問題なく使えるはずなんですけどね。(Cバスは、IRQと信号の減衰、筐体の大きさを無視すれば、無限に増設可能らしいです)。