PC-9801RXのCPUは、基板に直づけではなく小さなボード上に乗った物になっています。なので、このボードごと取り替えるCPUアクセラレータもあると思うのですが、少なくとも私は知りませんし、見たことありません(無いのかも)。
ここでは、CPUボード上に載せるタイプの物を紹介します。
80287は、80286用のコプロセッサです。これを増設することにより、浮動小数点演算の性能向上が望めます。
CPUボード上に、[286NDP]と書かれたソケットがあります。ここに80287を装着します。ソケットの文字と同じ向きに80287上の刻印の文字が来るようにすればOKですが、一応ICの頭(半円状に凹んでいる方)が下に来ることを確認してください。
もっとも、今の時代にわざわざRXで大量の浮動小数点演算を行うことはないでしょうから、無理してコプロを増設する必要は無いと思います(80287はもう滅多に見つかりませんし)。
なお、V30用のコプロセッサも同様に装着できますが、私はV30用のコプロは見たことありません。
Cx486SLCは、Cylixの486互換CPUです。Cx486SLCにはコプロセッサは付いておらず、これにコプロセッサを付加したCx486DLCもあります。
このCx486SLCを搭載したRX用のCPUアクセラレータは各社出していますが、私はメルコのHSP16DR(HSP-4SD25)を持っています。
これを装着するには、まず標準で刺さっている80286を取り外します。QFPソケットなので専用工具が必要です。パッケージの中身に入っているそうですが、私は強引に取り外しました。そして、80287やV30用のコプロセッサが刺さっているなら、これらも忘れずに取り外します。
そうしたら、80286が刺さっていたソケットにこのボードを取り付けます。方向に迷うかもしれませんが、NDPソケットを覆い被す方向に(縦に)付けて下さい。
気を付けねばならないのは、このCx486SLC/DLCはキャッシュ制御のソフトウェアによって高速化を実現しているということです。そのため、忘れずにキャッシュドライバユーティリティソフトをインストールする必要があります。これをインストールしないと、80286より遅くなります。
添付されているキャッシュドライバが無い場合(中古品を本体のみで買ったとか)、Vectorなどにフリーの制御ソフトもあるようです。が、私はなぜか上手くインストールできませんでした。
HSP-4SD25は、「交換してくれ」と言わんばかりにクリスタルがソケット化されています。なので、挑発に乗って(?)、クロックアップを試みました。
写真のCPUの左側に見えるように、標準では50MHzのクリスタルオシレータ(水晶発振器)が乗っています。CPUはCx486SLC/25MHzが乗っていますから、乗せるクリスタルの半分の周波数が供給される物と思われます。そこで、30MHz駆動を目指し、60MHzのクリスタルオシレータを買ってきました。700円でした。結構高いです。
クリスタルオシレータは、電子パーツ店などで売っています。最近(2000年)は組み立てるだけのパソコンが流行なので、一昔前に比べてこのような電子パーツを扱っている店は随分と少なくなりました。まだ秋葉原や日本橋(関西の電気街)などに行けばありますが、地方の方は秋月電子通商のような通販を行っている店を利用すると良いでしょう。
さて、水晶発振器にはこのHSP-4SD25に初めから乗っている正方形の物と、それより一回り大きい長方形の物があります。性能は変わりません。通常、正方形のソケットに長方形のを刺す時はソケットに細工をする必要があります。
が、このHSP-4SD25は全くもって親切なことに、どちらでもそのまま刺せるようにできています。正方形型のは元のと同じように、長方形型の場合はその外側のピンを使えばOKです。ただ、刺す方向には注意が必要です。
クリスタルを上から見ると、刻印上に小さな黒丸(●)があります。そのピンを、正方形ならば写真の水色の矢印、長方形ならばオレンジの矢印のピンに来るように刺して下さい。
クリスタルを交換したら、アクセラレータを元に戻して電源を入れてみます。ピポ音が鳴らなかったら、すぐに電源を落として下さい。何かが間違っているか、CPUが周波数に耐えられていません。無事にピポ音が鳴って起動しても、とりあえず数十分ほど正常動作を確認しましょう。
なお、クロックアップをするとCPUの発熱が気になります。通常ではヒートシンクすら付いていないので、金属板を貼り付けるだけでも結構効果があると思います。が、メンドいので私は何もやっていません(ぷ。(と思ったら、すぐに暴走してしまうようです。ヒートシンクは必須の模様)。