作成日:2012/11/11
お月様に関する色々を写真とともにまとめました。導入時のネタなどにどうぞ。
月の写真は、意外に簡単に撮れます。
これらは一眼レフカメラ(Nikon D90)で撮った物ですが、コンデジでも大丈夫。コンデジで撮る場合の注意点をまとめます。
手持ちで撮ると、当然手ブレしてぼやけた写真になってしまいます。コンデジならばカメラ自体が軽いので、本格的な三脚は必要ありません。安物で構わないから、三脚を必ず使いましょう。
南中しているときが一番撮りやすいと思われるかもしれませんが、カメラをかなり上に向けないといけないため、画像を確認するのが難しくなります。背面液晶がバリアングルなら良いのですが、それでも結構面倒です。やや低め、くらいの時間を狙いましょう。また、東・西のどちらかに開けている場所を事前に探しておきましょう。
シャッターボタンを押す際のカメラブレを防ぎます。レリーズというワイヤを付けてリモートシャッターが押せる道具もありますが、わざわざ買うこともないので、まずはセルフタイマーで試してみましょう。
夜空に浮かぶ月を撮ろうとすると、真っ暗な背景で撮るため、カメラの自動露出補正がはたらいて明るめに撮れてしまいます。すると、月の表面が白飛びして表面の様子が何も見えません。こういう場合は、露出補正(明るさ補正、ですね)して、ちょっと暗めのマイナス側に振ってから撮れば良いです。マイナスの値をいくつか変えて撮っておいて、あとでパソコン上でよく見て選ぶと良いでしょう。
このように同じ写真を露出を少しずつずらして撮っておくのは、プロのカメラマンもよく使う手法です。
月齢が若くまだ月が細いときは、月の影の部分がよく見えます。月が満ちていくと、この影の部分は見えなくなります。
月が細いときほど、月の影の部分は明るくなります。この現象は地球照(ちきゅうしょう)によるものです。太陽からの光が地球で反射され、その「照り返し」が月を照らしているのです。
地球から見て新月のとき、月面に立って地球を見れば、地球はほぼ全面が明るく輝いて見えるでしょう(満月ならぬ、いわゆる「満地球」)。一方、地球から見て満月のときに、月面から地球を見れば、ほぼ真っ暗に見えます(新月ならぬいわゆる新地球)。つまり月の満ち欠けと、月面から見た地球の満ち欠けは逆になります。月から見ると夜空の地球は大変に大きく、その照り返しで影の部分が照らされるのです。
月が細いほど地球照は強いはずですが、あまり新月に近い月齢1,2の頃は太陽に近すぎて見えにくいので、地球照で暗い部分がよく見える月は、結局のところ三日月の頃が一番です。
満月の次の日の月のことを、十六夜(いざよい)の月と言います。いざよう、とは古語で「ためらう」という意味。
満月は日没と同時に上ってきますが、翌日の月齢16の月は、日が沈んだ後にやや時間を置いて出てきます。この様子を、「月が、昇ってくるのをためらっている。遠慮がちになっている」と観察して、十六夜という名前が付いているようです。
なんとも、日本人の奥ゆかしい気質が出ている名前だとは思いませんか。
南中している時、右側が明るいのが上弦の月。左側が明るいのが下弦の月です。以下の写真は下弦の月が昇ってきたところ。この日は空気が澄んでいて、キレイに撮れました。
ところで下弦の月の、「下弦」とはなんなのか。これ、月を弓と見立てて、沈むときに弦(つる)が下側に来るから……と思っていたのですが、違う説もあるようです。そもそもこの写真で分かる通り、下弦の月も昇ってくるときは弦が上側なわけです。
そうではなく、ここで言う上下は位置関係ではなく、太陰暦の「上旬」「下旬」を差すものだと。確かにそう言われればすっきりします。上弦の月は太陰暦で上旬に見られるし、下弦の月は下旬。私はこちらの方が正しいと思います。
ちなみに、弓道では上弦は「うわづる」、下弦は「したづる」と読むそうです。中仕掛の上側と下側を指す用語で、これも月の見立てとは関係ないようです。
昼間の月はぼんやりとしています。写真を撮る場合もピントが合わせにくく、夜の月よりもむしろ難しいです。
以下の写真は、下弦の月を朝方に撮りました。PLフィルターを付けて青空の青みを深くしていますが、ちょっとわざとらしすぎるかな……。
さて、青空に月が出るには、日が落ちていなければなりません。つまり、満月が青空に浮かぶ様子は見ることができません。また新月付近・満月付近の青空に浮かぶ月を見るのも、日の出・日の入りの時間と月の出・月の入りの時間が非常に接近しているため、なかなか難しいです。
ちなみに、飛行機がよく通る場所で長いことねばっていると、月を通る飛行機の写真が撮れます。これは偶然撮れた一枚。
また満月に近くなると、日中でも月はかなりの明るさとなるため、このくらいの風景写真でも目立ってくれます。以下の写真は、東急大井町線の二子玉川駅から徒歩5分ほど、多摩川河川敷で撮りました。ここは、「鉄っちゃん」にも有名なスポットですね (^^;)。
なお、この写真の青空には月以外にも数字のようなものが浮かんでいますが、これはただのゴミです(笑)。フィルムで撮ったので、ちょっと感光したようです。
(この項、説明が難しいので書きかけ中)
気が付いている人は少ないようですが、月は1年を通してかなり南中時の高度が変わります。例えば満月は、夏至の頃では30度ちょっとの高度ですが、冬至の頃になると高度は70度を超えます。
ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」のお茶会のくだりに、三月ウサギというのが出てきます(秋葉原にも"三月兎"というパーツ屋がありましたね)。
これはそのまま March hare, 3月のウサギという意味です。三日月とは関係ないようです。
月の写真を一眼レフカメラで撮る場合は、何十万円もするような高価な明るい望遠レンズ(Nikonで言えばAF-S NIKKOR 300mm f/2.8G、いわゆるサンニッパ)は必要ありません。野鳥などを撮るわけでは無いので、そんなに明るいレンズは要らないのです。しかし画質を考えると、安価なf/5.6くらいの望遠ズームレンズではなく、単焦点レンズを使いたいところ。一方、単焦点の望遠レンズはやたらと高価なので、ここで「f/8くらい暗くていいから、単焦点で300mmくらいある望遠レンズ」が欲しくなります。
ということで色々探したところ、私のオススメはBORGということになりました。
BORGは望遠鏡メーカのトミーテックが販売しているシリーズで、絞り輪なし・f値は暗め・マニュアルフォーカスですが、画質は大変良く価格もお手頃です。カメラレンズというより、「望遠鏡に、カメラに付けられるアダプタが付いている」というイメージです。
私が購入したのは、デジボーグ45EDII 望遠レンズセットと、Nikonのカメラに付けるためにFマウントアダプタ。焦点距離325mm、f/7.2です。1.4倍テレコンが標準で付属しているので、これで焦点距離455mm、f/10のレンズになります。秋葉原のスターベース東京で55,000円ほどで購入しました。
このページの月の写真も、地球照のもの以外はこのBORG 45ED2で撮っています。下弦の月を撮った時の画像のパキパキさを見ると、「買って良かった!」と心から思いました。おすすめです。