トポロジー(位相幾何学)的にベーグル切断

数学者のGeorge W. Hart氏が書かれていた記事「"Mathematically Correct Breakfast - How to Slice a Bagel into Two Linked Halves (数学的に正しい朝食 - いかにしてベーグルを繋がったまま2等分するか)」が面白かったので、実際にやってみました。

しかし、この記事を見ながら「簡単、簡単」と思いながらやってみると実はなかなか難しい。ので簡単に説明します

用意するもの

切り方

まずはHart氏のページをよく読みましょう。簡単な英語ですから恐れる必要はありません。ベーグルの穴のちょうど中心が座標軸の原点となっており、そこから右にx軸、奥側にy軸、上方向にz軸が伸びています。

  1. まずはA点を打ちます、これはベーグル上の一番標高が高いところならどこでもいいです。打ったら、写真の通りにA点が右に来るようにベーグルを置きます。
  2. 次にB点を打ちます。これはベーグル穴の内側の表面、ちょうどy軸と交わる位置です。
  3. 次にC点。これは、A点とちょうど点対称の位置です。つまりひっくり返したベーグルの「山」の、Aから一番遠い位置に打ちます。
  4. 最後にD点。これはy軸を手前に伸ばし、ちょうどベーグルから飛び出てくる位置です。

4つの点を打ったら、その点をなめらかに結んだ線を描きます。すると一つの曲線が出来上がります。Hart氏のページで黒い線で描かれています。

次に、赤ペンを用意します。今描いた黒線のの裏側の線を引くのですが、まずは表と同様に点を打ちます。この際、A点の裏(ベーグル内を突き抜けた裏側)にA'、B点の裏にB'……のように点を打ちます。打ったら、同様になめらかに線を結びます。

この段階で、黒線の裏側に赤線が引かれている状態となっています。あとは、「黒線上の任意の点から細い棒を突っ込んで、赤線上まで貫通させる。その細い線を少しずつ回転させながら、黒線上を一周させ切断する」というイメージです。少しずつ曲がった面で切断していくので、普通の果物ナイフなどでは幅広すぎて上手く行きません。そのため、実際の切断は針金を使うと良いようです。

まず表面付近にナイフで線を入れて「道」を作ります。「道」は、赤い線と黒い線の両方から入れます。そうしたら、スタート地点(Aが分かりやすい)に針金をさして裏側まで貫通させます。貫通したら、その針金を黒線赤線から飛び出さないように動かしていって切断するわけです。

模型作り

ベーグルパンは当然のことながらカビが生えるし腐るので、長期保存には向かない。というわけで、紙粘土で模型を作ってみました。紙粘土は、とても軽いものと昔ながらのずしりとした重いものがありますが、この模型ではずしりとした方が好ましいです(軽いものはやわなので崩れる)。模型を作る際は、真ん中の穴を大きめに作った方がやりやすいです。

ドーナツ型(数学用語ではトーラスと言います)ができたら、針金で切断して2つに分けます。そして乾燥を待つわけですが、この際に切断面がくっつかないようにサランラップなどを当てて2つをくっつけて、元のベーグルの形に整えてから乾燥させるとキレイに仕上がります。乾燥したら、水彩絵の具で色を付けてからニスを塗ればOKです。


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