NECの名作ノート、PC-9801Nを手に入れる。
1998年の冬頃、私はノートPCを欲していた。学科の性質上実験が多く、どこでもレポートが書けるノートPCに憧れていたのである。しかし貧乏学生であった私には、PentiumなノートPCなぞ夢のまた夢であった。486ノートにしても数万円はしたし、その数万円を捻出することが出来なかった。
そんな折、朗報が届いた。サークルのnori_o先輩が、要らないPC-9801Nならあげるよ、というのである。もう古くて役に立たないよ、ということであったが、MS-DOSが動いてエディタが動くなら、もう十分すぎるほど十分である。私はくれくれ今くれすぐくれとnori_oさんに頼み込み、無事にPC-9801Nを手に要れることが出来た。今は徳島に行ってしまったnori_oさんには、本当に感謝である。
頂いたPC-9801Nは非常に綺麗であり、マニュアルまで付いていた。しかも驚くべきことにバッテリーは死んでおらず、30分ほどは余裕で駆動できた。さっそく私はRAMドライブにMS-DOSをインストールし、エディタに普段使っているJED、そしてATOK 8をインストールした。V30にはいささか荷が重かったのか少し打鍵速度を落とさねばならなかったが、初めてのノートPCでレポートやら同人誌の原稿やらを作成し、私は大満足だった。
その後、WindowsCEマシンのMobileGearII MC/R330を購入するまで、このPC-9801Nは大量のテキスト作成マシン(そして時には息抜きゲームマシン)として非常によく働いてくれた。遅くっても、モノクロでも、あのちっちゃい体に旧蜂アーキテクチャを詰め込んだPC-9801Nは、まさに至高のノートPCであった。NOTEDISK.SYSやnflash.comなど、ユーザからも積極的に使い倒してやろうという意気込みが感じられた、古き良き時代の名ノートPCである。
次項より年代が進んでしまうが、次にPC-9801Nの後継(私の中で)となった、MobileGearII MC/R330の話に移る。
PC-9801Nはよく働いてくれたが、さすがに1年ほど使うといささかその旧式ぶりが苦痛になってきた。その折、乾電池で25時間駆動、超コンパクトボディなのにキーボードはすごく打ちやすい、モデム内蔵でインターネットも出来る、という非常に魅力的なマシンの情報が入って来た。それが、モバギの中でもモノクロ液晶で駆動時間を伸ばしたストイックなモデル、MobileGearII MC/R330である。
当時、CEマシンでモバギの対抗馬にあったのが、日立のPersonaである。Personaのキーボードの方が確かにモバギよりも若干打ちやすく感じたが、モバギはPocket ATOKを標準で添付ということを聞いて、結局モバギにすることにした。それに、NEC信者であった私の個人的ひいきもあったと思う(w。
モバギのMC/R330は人気があり、発売直後に日本橋をうろついたのだが、ことごとく売り切れであった。ウソマップに行くと次回入荷分の予約を勧められたので、素直に予約してしまった。ついでに追加メモリと充電池も注文した。良い客である(ぷ。
一週間ほどして入荷し、ようやくモバギをこの手に掴むことが出来た。液晶にバックライトが無いためにちょっと暗い場所ではすぐ使えなくなる、反応速度が随分と遅くて長い連文節変換をするとかなりもたつく、という欠点があったものの、その長い駆動時間と超コンパクトボディ(しかもすごく軽い)、CEならではの一瞬で起動、モデム内蔵でメールもWebもIRCも出来る、というのに惚れ込んで、かなり使い込んだ記憶がある。当時の同人誌の原稿は、ほぼ全てこれで書いていた。
MC/R330には、NECお得意(?)の、ヒンジの弱さという欠点があったようである。しかし幸いなことに私のモデルではヒンジ部がバキバキになることは無く、結局手放すまでなんら故障は無かった。今はB5サブノートPC(Let's note CF-B5ER)を手に入れたためにMC/R330は手放してしまったが、もうちょっと応答速度の速いモノクロモバギが出たら、また買ってみたいと思っている。
PC-9801Nと、モノクロモバギMobileGearII MC/R330。どちらも私のNEC信者度を著しく上げた、素晴らしいモバイルPCであった。