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テムズ川のトンネル - カティサーク号 - グリニッジ天文台

新婚旅行初日は疲れ果てて寝ただけなので、本格的に動き始めたのは2日めから。この2日めは妻の発案で、グリニッジ天文台(Royal Greenwich Observatory)へと行くことにした。例のグリニッジ子午線があるところで、大学時代は物理学徒だった私も興味津々である。

ちなみにこのグリニッジ天文台、今は観測には使われておらず博物館となっている。観測機関としての王立天文台は、現在はケンブリッジにあるそうだ。また、グリニッジはGreenwichと書く。パッと見で「ん? グリーン?」と間違えやすいので、路線図などを見る際には注意が必要である。

DLR、いきなり運休

ロンドンからグリニッジに向かうには、DLR(Docklands Light Railway)という鉄道の、Cutty Sark for Maritime Greenwich駅が最寄りである(最寄り駅とは言っても、そこから20分くらい歩くけど)。DLRに乗るには、地下鉄でBank駅まで行ってそこから乗り換えると良いだろう。オイスターカードがそのまま使えるので、切符の心配もしなくて良い。

ただ、いきなり天文台の最寄り駅であるCutty Sark駅に行くよりは、DLRでその一つ手前、Island Garden駅で降りてしまってそこから歩いて向かうことをオススメしたい。なぜなら、Island Garden駅からグリニッジを目指して歩くと、テムズ川の底を通るトンネルを通ることができるからだ。我々もそのルートで行くことにして、まずはBank駅からDLRに乗ってIsland Garden駅に向かうことにした。

しかし、ここでトラップに引っかかった。ロンドンの鉄道は土日に頻繁に工事をおこなうため、一部区間の運休はしょっちゅうなのは有名な話。そして我々がグリニッジに行こうとしたのも日曜日……見事にグリニッジまでの途中区間、Canary WharfからIsland Gardenまでが運休となっていた。しかもDLRは土日は無人駅となるところが多いようで、駅員さんが見つからず聞くこともできない。

仕方ないので途中駅でうろうろしていたところ、駅に出ていた掲示を見つけた。どうやら代替バスが出ているらしい。ということでその掲示板に貼られていたポスターを頼りに、Westferry駅まで戻って代替バスに乗った。この時点でかなり右往左往しており、既に疲れていた (^^;)。が、まぁ無事にバスでIsland Garden駅に着くことができた。

テムズ川のトンネル

Island Garden駅はMillwall Parkという大きな公園に隣接しており、南側にはどっしりと流れるテムズ川(River Thames)を望むことができる。そしてここから歩いてテムズ川を渡ることができる。……そう、橋を渡るのでは無く、川底を通るトンネルでテムズ川を横断するのだ。

このトンネルはグリニッジ・フット・トンネル(Greenwich foot tunnel)と呼ばれる。20世紀初頭に開通したというから随分と古いものだ。歩いてみると確かにトンネル内部に古さを感じるが、産業遺産っぽくてなかなか面白い。途中では何やらインタビュー撮影しているカメラマンもいた、確かに背景としてもここは面白い。

トンネル内には観光客が多いが、地元民らしき人も見かけた。自転車での通行も可能なので、親子連れなどが自転車を押しながら歩いていた。川と共に生きる現代人ってこんな感じなのかぁ、隅田川とは随分雰囲気が違うなぁ……と思った。

カティ・サーク号 (Cutty Sark)

テムズ川のトンネルを歩いて抜けると、すぐに大きな船が見える。これが19世紀に中国からイギリスへと紅茶を運ぶために活躍した帆船、カティ・サーク号である。もっともこのカティ・サークという名前、今ではこの帆船よりも、ウイスキーの名前として有名ですね。

まずはカティ・サーク号の受付に行ってみると、船内の見学チケットとグリニッジ天文台の入場券がセットになったジョイント・チケットがあると紹介されたので、それを購入することにする。£14.00、日本円で約2000円ほど。クレジットカード王国のイギリスに来たからには、この入場券もカードで支払いを済ませ、まずはさっそくカティ・サーク号の内部の見学に出発。

カティ・サーク号の中は、船というよりも博物館だった。当時中国からお茶を運んでいた商船のため、積み荷の再現・お茶の豆知識・当時の経済状況などなどの紹介。クイズが板に書いてあってめくると答えが書いてあるなど、日本の博物館と結構似ている体験型展示もされていた。一応(?)私は学芸員の資格も持っているので、こういうところも気になった。

船底には、ちょっとしたカフェコーナーがあった。寒かったのでホットチョコレートを頂く。イギリスにはあちこちにカフェスポットがあるので、飲み物には困らない。ここでしばらくぼーっとしながら、当時の貿易航路に思いを馳せた。

Discover Greenwich Visitor Centre

カティ・サーク号のすぐ隣に、Discover Greenwich Visitor Centreが建っている。ここは旧王立海軍大学で、現在はグリニッジ天文台周辺の案内所となっている。中にはちょっとしたミュージアムもあり、入場も無料なのでちょっと覗いてみた。面白かったのは、こんな表示があったこと。

日本の博物館では写真撮影が禁止なところが多く、撮影OKな場合でも、いかにも「撮らせてやっている」みたいな雰囲気がある。しかしここでは、「すげぇ写真が撮れたらfacebookやFlickrにアップしてよ!」と実にフレンドリーだ。お国柄の違いかなぁ……と、これには結構カルチャーショックを感じた。

さて、このDiscover Greenwich Visitor Centreで無料の地図をもらい、いよいよ(旧)グリニッジ天文台へと向かうことにする……と思ったが、腹が減ったのでマーケットの屋台を覗くことにする。

グリニッジのマーケット

カティサーク駅の南東、徒歩5分ほど行ったところは、飲食店や服飾品・アクセサリー、小物などを売るお店が多く建ち並ぶ商店街となっている。ここはグリニッジマーケットと呼ばれる一角で、屋台や出店も多い。「グリニッジマーケット」で検索すれば日本語でも色々と情報が出てくるため、比較的有名な観光名所のようだ。特に土日が賑わうらしい。

我々が訪れたのも日曜日だったので、マーケット内は結構な混雑であった。屋台には寿司を出している店もあったが、これはちょっと恐ろしくて食べることはできなかった。ここではランチ代わりに、Beef Sandwitchを買って立ち食いした。チーズもたっぷりで超重量級であった。

サンドイッチを食べた後、アンティークマーケットもあるというので覗いてみた。色々な古い貴重品(ガラクタ?)を売る、フリーマーケットのような雰囲気だ。ちょっとしたガラス小物などを買ってみようかなと思ったのだが、荷物になりそうなのでやめておいた。このアンティークマーケットは、想像していたよりは随分と規模は小さかった。ガイドブックなど見て行く場合も、そんなに期待をして行くほどではないかも。

丘を越え行こうよ、グリニッジ天文台へ

腹も満たされたので、ようやくグリニッジ天文台に向かうことにした。グリニッジ天文台は、広大なグリニッジ公園(Greenwich Park)の中央付近に位置している。

この公園、なかなか起伏が激しい。天文台は丘の上(というか、山頂)に建っているため、ちょっとした登山である。夫婦でひぃひぃ言いながら坂道を登り、ようやくお目当ての場所へとたどり着いた。ここへ行くとき、女性の方はヒールの高い靴を履いていくのはやめた方が良いだろう。

さてこのグリニッジ天文台は、グリニッジ標準時の基準として有名な場所である。すなわちここは、東経0度0分0秒。一般にタイムゾーンの+9とか-10とかは、このグリニッジ標準時GMTを基準に算出される。例えば日本時間はJSTで、GMTから9時間進んでいるためGMT+9と表される。

……というのが一般的な説明でよくなされるが、実は現在の世界標準の時間は、セシウム原子時計を用いたUTC(協定世界時)で表すためGMTは使われていない。つまり日本時間JSTは、UTC+9であってGMT+9では無い。もっとも両者の差はごく僅かだし、実用上、UTCとGMTを混在しても問題が起きることはないだろう。

ここが、東経0度0分0秒、本初子午線。ここをまたいで記念撮影する人たちでいっぱいだった。私も妻と一枚撮りました。

建物の中は、現在は博物館となっている。ここは科学館というよりは、王立天文台の歴史館という感じで、王立天文台自体に興味が無いとちょっと退屈かな。

国立海洋博物館, Queen's House, Painted Hall

グリニッジ天文台を見た後に、カティサーク駅の方に戻りがてら、グリニッジ公園の北側エリア(Queen Mary Court)にある博物館を見た。ここにも様々な観光名所があるのだが、私が見たのは国立海洋博物館、Queen's House, Painted Hallなど。

国立海洋博物館は、ちょっと子供向けの色が強かったかな。館内もちびっ子が多く、家族連れにはおすすめだと思う。

Queen's Houseは、その名の通り女王陛下の家。エリザベス1世もここで産まれたそうな。館内は外交官や王族貴族などの肖像画が展示されている。

建物も素敵な感じで良い。しかし少々疲れていたのであまり写真は撮らなかったな……。

旧王立海軍大学

帰りに、はじめに通った旧王立海軍大学(Old Royal Naval College)の中を通っていった。

ここには、Painted HallとChapel(礼拝堂)があり、天井画が有名とのことでちょっと覗いて帰ることにする(入場は無料なので安心)。なおここから数枚の写真は、Olympusのドラマチックフィルターをかけてみたのでコントラストが極端です。

ここは17:00には閉まってしまうので、行くなら早めに行った方が良いだろう。中の雰囲気はそんなに厳粛という感じではなく、結構リラックスして見ることができたので良かった。

水上バス

帰りは、妻がどうしても乗りたいというのでテムズ川の水上バスで帰ることにした。6月のロンドンの夕方は風も冷たくてとても寒く、私は早く帰りたいとダダをこねてしまった。

テムズ川は隅田川と同様に、水上バスが運行している。水上バスは形も隅田川を走っているものと似ていて(屋形船の方じゃないよ)、屋根付きだったので寒くはなかった。確かに水上バスに乗ると、川からロンドンの町並みをじっくり見ることができるので面白い。地下鉄では分からない風景が見られるので、一度は乗った方が良いだろう。しかし、さすがに地元民はわざわざ水上バスには乗らないようで、船内はほとんどが観光客だった(と思う)。

水上バスでEnbankment駅まで行き、地下鉄でホテルのあるHolborn駅まで戻った。この日は疲れたので外食はやめにして、「WASABI」というテイクアウトの寿司屋で寿司を買い、ホテルの部屋でもそもそと食べた。そこそこ美味しかった。このようにロンドンでは寿司が人気で、スーパーに行くと普通に寿司を買うことができるのには驚いた。ロンドンっ子に人気の寿司ネタは、サーモンのようだ。


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