更新:$Date:: 2013-10-27 19:22:41 +0900#$, $Rev: 116 $
ロンドンの街を観光するなら、交通手段として絶対に使いこなさないといけないのが地下鉄とバス。そこでここでは、この二つの交通機関について書いてみたいと思う。
ロンドンの地下鉄は複雑であるとよく言われており、確かにそれは事実である。路線の数は多く、乗り換えは複雑で、しかも同じ路線名なのに途中で枝分かれするものもあったりして初心者にはなかなか難しい。
しかし、東京のあの複雑怪奇な地下鉄を乗りこなしている人なら、あまり心配する必要はないと思う。普通に路線図を確認しながら乗ればだいじょうぶ(なはず)。
それではこれより、ロンドンの地下鉄を利用する場合の予備知識を紹介しよう。
ロンドンの地下鉄に乗るには、まずきっぷを買う……と思うかしれないが、これは誤りだ。地下鉄に乗る際には紙のきっぷは買わず、代わりにオイスターカードを購入しよう。
オイスターカードとは、東京でいうSuicaである。ICカードにあらかじめチャージしておき、タッチするだけで様々な交通機関が利用できる便利なカードだ。旅行者にとっても、乗車のたびにいちいち目的の駅までの運賃を調べなくて良いのですこぶる便利である。
なお、オイスターとは牡蠣という意味で、「なんで牡蠣なの?」と我々旅行者は思うが……。しかし「なんで電車に乗るのにスイカなの?」と聞かれたら我々も分からんわけで、ま、そんなもんなんだろと適当に納得。ICカードに変な名前を付けるのが国際的に流行っているのだろうか。
オイスターカードは日本からでも通販で購入することができるらしいが、私はロンドンに到着後に地下鉄の自動券売機で購入した。イギリスの地下鉄の自動券売機は多国語対応されており、日本語メニューも存在する。そのため、まず最初に日本語モードにすると分かりやすい。
自動券売機でオイスターカードを購入するには、画面の案内に従ってボタンを押し、クレジットカードを入れればいいだけなので簡単だ。途中で初期チャージ額を聞かれるが、まあ低額すぎても不便なので、私は20£をチャージした。この辺もSuicaと同じ雰囲気で使える。
さてイギリスの地下鉄は非常に料金が高いとよく言われ、これは事実そうである。……なのだが、それは紙のきっぷを買った場合で、オイスターカードを使うと、仕組みはよく分からんが何故か安くなる。この点からもオイスターカードを使うことには大きな意義がある。
オイスターカードは、Suicaと同様に自動改札機にタッチする。ただし日本と違ってタッチする場所は、改札機の腰のあたりではなく、顔のあたりである。軽く「ハイ」と手を上げた辺り、とでも言えばいいだろうか。(分かりにくいだろうが、写真を撮ってこなかったのでこう説明するしかない)。
なんでもロンドン地下鉄は不正乗車に厳しいそうで、うまくタッチできていないと後で高額の料金を請求されることがあるらしい。そのため、無用のトラブルを防ぐためにもきちんとタッチするよう気をつけよう。
ちなみにきっぷを自動改札機に入れる場合は、ドアが開くタイミングが日本と違い、
となる。きっぷを入れただけではドアが開かないので、ここで「あれ? あれ?」と混乱して後ろから「きっぷを取って!」と言われるのが旅行者の常だ。私も言われた(^^;)。
ロンドン地下鉄の隠れた名物が、構内アナウンス "Mind The Gap."である。アメリカ英語ならば "Watch your step."だろうが、これがイギリス英語では Mind the gap. となるのだ。すなわち「隙間に気をつけろ」。
イギリスの地下鉄は車両とホームの間のすき間が広く、特に広いのがこの動画を撮影したBank駅である。
この地下鉄の構内アナウンスとして流れる "Mind the gap"。機械的なアナウンスであるのだが、しかし何やらどことなくノスタルジックな響きで、私はこの言葉にすっかり魅せられてしまった。イギリスという異国を歩いていると、日本とは違う文化の違い、すなわちカルチャーギャップに出会う。そんな多くのギャップに直面して疲れきってしまっていたとき、この "Mind the gap" が何やらとても象徴的に感じられてしまったのだ。「ああ、なるほど、ギャップだなぁ……」と。
もちろんこれはただの地下鉄のアナウンスであって、そんな深遠な意味を持たせているわけではない。しかし私はこの構内アナウンスを聞いて、異国での文化の違いというものにしみじみと思いを馳せてしまった。
あまりに気に入ったので土産物を探したところ、なんとこんなキーホルダーが売っていたので鼻息荒く即買いしてしまった。このマークは本来はロンドン地下鉄のロゴマークなのだが、彼らもあのアナウンスが妙に耳についてしまうことを知っているのだろう、Mind The Gapに変えたものが売られているのだ。
このお土産が、ロンドン旅行の中でもっとも気に入ったものとなった。今も大切に持っている。
ロンドンの地下鉄はとても便利なのだが、やはりいちいち地下に潜る必要があるため、近距離移動には手間と時間がかかる。そのため、近場の移動にはバスがオススメだ。バスは路線図がとても複雑なのだが、行き先をしっかりと表示しながら走っているため、事前にどれに乗ればいいかさえきちんと調べておけば難易度は低いと思う。
ロンドンのバスと言えば、あの真っ赤なダブルデッカー車。本やテレビなどでよく見る姿だが、まさにあの車が市中を走り回っている。
また、日本でよく見るような一階建てのバスもそれに混じって運行している。どちらも頻繁にやってくるため、バスは「待つ」ということがほとんど無い。2台、3台と連なってやってくるため明らかに過剰である。まぁ利用する側からすればとてもありがたいのだが。
バスの乗り方は簡単で、前から乗るとすぐカードリーダがあるので、オイスターカードをタッチするだけ。降りるときは後ろのドアからそのまま降りれば良い。なお1階建てのバスは後ろにもオイスターカードのカードリーダがあるものがあり、その場合は後ろから乗ってもかまわない(ようだ)。地下鉄に比べるとバスは手軽に乗れるし、なにより走行中に周りの景色が見えるのがとても良い。
ダブルデッカー車では1階でも2階でも好きなところに座って良いので、当然2階に乗ってみたくなるが……慣れないうちは気をつけよう。2階に上る階段はとても急で、バスの発車時にはかなり揺れる。さらに2階席は1階より振動が大きく、車酔いもしやすい。
しかし、やはりバスの2階から見るロンドンの街並みはとても美しい。一度くらいはバスの2階に乗ってみよう。バス乗車時に観察していたのだが、2階席に上りたがるのはやはり観光客が多く、地元民はみんな1階席を好むようだ。また、夜間には2階席は運転士の目が届かず危険なことがあると聞くため、1階席に乗った方が良いと思う。