我が家にパソコンがやってくる。
高校に入り、パソコンが欲しいという熱はかなり高まっていた。折を見てはパソコンが欲しいと親に言っていたのだが、しかし、何に使うのかと問われると、漠然と「プログラムとか……」としか言いようが無かった。ちょうどそんな折、我が家のワープロ(Panasonicの何か、機種名忘れた)が壊れてしまう。いや、正確には、FDDが壊れてしまい、フロッピーが一切読めなくなってしまったのだ。ワープロは結構我が家では必需品だったので、結局新しくワープロを買うことになる。
が、どうせワープロを買うなら……と、我が家でもついにパソコンを購入することになった。私は喜び、早速、親父と二人で機種選びが始まった。
しかし、何を買えばいいのか、当時の私にはよく分からなかった。Macはとりあえず眼中に無かったのだが、なんかNECが良いようだ程度にしか分からなかった。そこで、パソコン雑誌でも買ってみようと、「月刊ASCII」を買ってきた。それより前から「マイコンBASICマガジン」は買っていたのだが、私の中ではあれはパソコン雑誌では無かったらしい(ぷ。まぁ典型的なナイコン少年だったのだね。
買ってきたASCIIを読んでみても、まだ全くの素人だった私にはよく分からなかったのだが、とにかく月刊ASCIIの記事中の「メモリは多いほどいい、8MBではなくて16MBの機種を」ということだけは、なんとか理解することができた。が、ハードディスクとメモリの違いはやはり良く分からなかったのだけど。
そこでいくつかカタログを見たのだが、この時点でNECにすることは既に決まっていた。当時はWindows95が出たばかりで、NEC帝國に翳りは見えていたもののまだまだ圧倒的なシェアを誇っていたので、親父はその安心感を取ったらしい。
そんなわけで候補は、よく覚えていないのだが確かCanbeとX-Mateの一機種だったと思う。Mateの何かは忘れてしまった。しかし、どちらもイマイチ感が漂い、どうしようかと思っていた所に、NECが新シリーズを発表。それが、2001年現在も圧倒的売り上げを誇る、安価だけどソコソコ路線マシン、バリュースターシリーズである。
初代バリュースターは、PC-9821V7/S、V7/C、V10/S、V10/Cがあった(と思う)。V7はPentium75MHzであり、メモリも8MB。月刊ASCIIで唯一読みとれた「メモリは16MB」というのを信じて、これは候補から外れた。V10/Cはモニタと一体型であり、そのカッコ悪さに私は落胆し、V10/Sを選ぶ。V10/Sにも数種類あったが、結局は一太郎とFAXモデム内蔵の、PC-9821V10/S5KCが最終決定となった。Pentium100MHz、850MB HDD、16MB RAM、x4CD-ROMドライブというスペックである。
ちょうどその時、親父も同様にV10/Sがいいだろうと言っており、ようやく購入する機種が決定した。この機種選びだけで、確か2ヶ月ほどかかったような記憶がある。
後は、どれだけ安く買うかである。色々とショップに見積もりを出してもらい、結局秋葉原のソフマップで購入することになった(ソフマップは、当時はまだあまり阿漕ではなかった)。Canonのプリンタ、BJC-210Jと合わせて、確か238,000円だった。当時の他の機種に比べれば充分高性能で、しかもかなりの安さであった。実際、当時はまだ、メモリ8MBでWin95プリインストールという鬼のような機種がゾロゾロあったので、今考えてみればメモリには拘っておいて良かったと思う。
こうして、1996年2月、念願のパソコンが我が家にやってきたのである。